2019年2月から金の価格は下がりました。

しかし、ディーラー(投資のプロ)でなければ、

  • 金が下がっている原因がわからないのが当たり前です。

 

ここからは、2019年2月から金の価格が下がっている2つの原因・相場のおさらい・金の価格が動く3つのワケを、貴金属ライターが解説します。

 

具体的な記事の内容は、以下のとおりです。

 

  • 金価格の下げは、先物とSQが原因
  • 金の価格が上がったのは、新興国のおかげ
  • 国債利回りが下がると、金の価格が上がる

 

といった金の価格変動に関わるポイントを紹介します。

約3~5分もかからない内容のため、金の積立やトレードをする人はチェックしてください。

 

金の価格を下げた原因

金の価格を下げた原因には、金の先物価格の下落とSQ(特別決済指数)です。ここでは、金の価格を下げたとみられている2つの原因を解説します。

 

金先物の価格は下落

株式と同じく、金にも現物価格(金の積立投資)と先物価格(短期トレーダー向き)といった2つの値段があります。金の先物価格は、2019年2月20日の高値である4,789円から下がりました。

 

2019年2月20日~2月28日までの「始値」「高値」「安値」「終値」については、以下のとおりです。

 

【金先物価格の推移(2019年2月20日~2月28日)】

 

日付 始値 高値 安値 終値
2月20日 4,704円 4,789円 4,703円 4,771円
2月21日 4,774円 4,782円 4,746円 4,753円
2月22日 4,757円 4,760円 4,700円 4,710円
2月25日 4,709円 4,729円 4,701円 4,724円
2月26日 4,719円 4,735円 4,709円 4,718円
2月27日 4,711円 4,716円 4,702円 4,703円
2月28日 4,697円 4,707円 4,681円 4,684円

 

※2月23~24日は、休場のためデータがありません。

2月20日までは、4,700円をキープしていました。月末の2月28日には、スタート(4,697円)から4,700円割れとなって、かろうじて高値で4,700円まで戻したのです。しかし、終値(取引終了後の価格)については、4,753円と始値の価格を割っています。

 

ここからは、金先物と小売・買取価格が関係しているのかをチェックしましょう。

以下の表では、2月20日から2月28日までの金の小売・買取価格が書かれています。

 

【金の小売・買取価格の推移(2019220日~228日)】

 

日付 小売価格(税込) 買取価格(税込) 前日との比較

(小売価格)

220 5,167 5,082 56
221 5,176 5,091 9
222 5,115 5,030 61
225 5,141 5,056 26
226 5,147 5,061 6
227 5,132 5,046 -15
228 5,113 5,028 -19

 

金の小売価格については、2月20日から前日比で上昇したのが4日・下落したのが3日です。価格が下がった日数だけなら、少ないですよね?

 

2月20日と2月28日の価格を比較すると、-54円の下げとなります。そのため、1週間で少しずつ価格をが落ちているのです。

 

買取価格も2月20日と2月28日を比べると、-54円と少しずつ下げているのです。おそらく先物価格と小売・買取価格は、相関性が高いでしょう。

 

SQ(特別清算指数)による決済

金の先物投資をしていると、決済を行う期限が決められています。しかし、金をホールド(保有)し続けていると、SQ(特別清算指数)で先物投資ができず、現物投資に変えられてしまうのです。

 

2月末には、メジャーSQの1つである「立会(取引日)」でした。先物取引をしたい人は、SQによる現物取引を避けるために「利益確定の売り決済」をして、金の価格が下がったと考えられます。

 

2019年の金価格の動き

2019年がスタートして、約3ケ月ぐらい経ちました。金の小売価格も5,000円を超えた値段で推移しています。

 

ここからは、2019年の金の価格について解説します。

 

5,000円台を突破からの下げ

2019年3月22日の金の価格は、小売価格が5,074円(税込)で買取価格が4,989円(税込)となります。

 

2月の金価格も5,000~5,110円台を推移していたため、小さな下げと横ばいを続けているでしょう。

 

しかし、2017年12月のドル建て(約1,340ドル)と小売価格(約4,800円/税抜)の高値と近いため、レンジ相場の上限まで上昇したと考えられます。

 

上抜けがなければ、金の価格がストンと下がるかもしれません。

 

金の価格変動をもたらす「2つの原因」

金の価格変動は、買い注文の増加や国債の利回りと関わっています。ここでは、金の価格が動く2つの原因を紹介しましょう。

 

新興国による「金の買いあさり」

トルコや中国といった新興国では、金の保有率が増えているのです。WGC(ワールドゴールドーカウンシル)の金保有ランキングでは、日本「第8位」をおさえて「中国(第5位」「ロシア(第6位)」「スイス(第7位)」とランクインしています。

 

先進国よりも不安定な新興国が、金の価格支えているのです。

 

アメリカの国債利回り

アメリカ国債の金利も、ドル建ての金価格に影響を与えています。例えば、2018年9月末の10年国債の利回りは、約3.2%です。ドル建ての金価格は、1,200ドルまで下げています。

 

2019年3月22日の利回りは、約2.5%と低下。ドル建ての金価格は、1311~1,312ドルと約100ドルも値上がりしています。

 

まとめると、以下のような法則が考えられるでしょう。

【金と国債の関係とは?】

  • 国債の利回りが下がると、金の価格は上がる
  • 金の価格が上がると、金の価格は下がる

 

金に投資をする人は、国債と株価の動向をチェックしてくださいね。100%ではありませんが、上昇・下落のトレンド(流れ)が切り替わるときがわかります。

 

まとめ

金の価格については、1日・1月・1年ごとに値動きが変わります。2019年2月まで上昇を続けていた金も、5,000円台で足踏みをしているのです。

 

調整による下げかもしれませんが、下落トレンドになる可能性も否定できません。それでは、記事の内容をまとめていきます。

 

【記事のまとめ】

  • 20192月の下落は「金先物の下落」や「SQ特別清算指数)による決済」の

   可能性が高い。

  • 金が上がり続けてきたのは、トルコや中国といった新興国の買っていたから。
  • 国債の利回りが下がると、金の価格は上がる。
  • 国債の利回りが上がると、金の価格を下げる。
  • 2019322日現在は、本格的な下落は始まっていない。