ロレックス シードゥエラー 116600は、シードゥエラーの歴史の中でも特に評価がズレやすく、語られ方が定まらなかった型番です。製造期間が短く、前作16600とも後継126600とも性格が大きく異なるため、「中途半端」「つなぎモデル」「短命だった失敗作」といった評価を受けることもありました。しかし鑑定・買取の現場で世代ごとのシードゥエラーを並べて見ると、116600は決して失敗作ではなく、“シードゥエラーが現代化する過程で避けられなかった実験世代”であることがはっきり分かります。本記事では、仕様変更と世代変化という視点から、116600がどのような役割を担い、なぜ短命でありながら市場から評価が消えなかったのかを整理します。

モデル紹介

シードゥエラー 116600は、16600の後継として登場し、セラミックベゼルを初めて採用したシードゥエラーです。一方で、後に登場する126600のような大型化や赤シード表記はなく、ケースサイズは40mmに抑えられています。防水性能は大幅に向上し、ムーブメントも世代交代を果たしましたが、見た目のインパクトは控えめで、あくまで「機能更新」を主目的とした仕様変更が中心でした。この控えめさが、評価を分ける要因になります。

16600から何が変わり、何が変わらなかったのか

116600は、16600から大きく二つの点で進化しています。一つはセラミックベゼルの採用による耐傷性と視認性の向上、もう一つはムーブメント世代の刷新です。一方で、ケースサイズや全体のプロポーションは大きく変えていません。つまり、116600は「外観の連続性を保ったまま中身を現代化したモデル」です。この姿勢は保守的とも言えますが、同時に“プロモデルとしての思想を崩さない”選択でもありました。

なぜ評価が中途半端に見えたのか

116600の評価が定まりにくかった理由は、前後のモデルが強すぎた点にあります。16600は最後のアルミベゼル世代として完成度が高く、126600は大型化と赤シード表記で話題性を獲得しました。その間に挟まれた116600は、仕様的には進化しているものの、物語性が弱く見えてしまったのです。しかし実務の現場では、物語性よりも「仕様の整合性」が評価される場面が多く、116600はその点で非常に整理されたモデルと言えます。

短命モデルが評価を失わなかった理由

製造期間が短いモデルは、評価が極端に振れやすい傾向があります。しかし116600の場合、短命でありながら評価が消えませんでした。その理由は、仕様が“過渡期”として明確だからです。アルミからセラミックへ、旧世代ムーブメントから新世代へ。その橋渡しを担った存在として、コレクション全体の流れを理解するうえで欠かせない位置にあります。この位置づけが、理解層からの需要を生み続けています。

中古市場での評価構造

中古市場において116600は、派手な値動きを見せるモデルではありません。しかし一定の評価レンジを維持し続けています。サイズは40mmで扱いやすく、セラミックベゼルの実用性も高い。16600ほどクラシックではなく、126600ほど主張が強くない。この“中庸”が、実需層にとってはむしろ魅力になります。結果として、理解層に支えられた安定した需要が形成されています。

査定額を左右するポイント

116600の査定では、ケースとベゼルの状態が重要です。セラミックベゼルは傷に強い反面、欠けがあると評価に影響します。また、ケースの厚みや輪郭がしっかり残っているかも重要な判断材料です。ブレスレットの伸び、バックル周辺の摩耗、付属品の有無も評価の安定性を左右します。保証書・箱・余りコマが揃っている個体は、理解層にとって安心材料になります。

より良い条件で売却するための考え方

116600を売却する際は、「短命モデル」であることを不利に捉える必要はありません。むしろ、世代変化を象徴するモデルとして整理して伝えることが重要です。写真査定では、ベゼル・ケース側面・ブレスレットの状態が分かるカットを意識すると評価が安定します。過度な研磨は避け、整合性を保つことが結果につながります。現物確認で金額が変動する場合がございます。来店希望の方は詳細写真をいただけますと再提案が可能です。

最新相場の傾向

シードゥエラー 116600の相場は、派手な上昇よりも安定感が特徴です。前後モデルとの比較で語られることが多いものの、単体としての評価は徐々に整理されてきています。過渡期モデルとしての位置づけが理解されるほど、評価は落ち着いたレンジに収まりやすくなります。なお、同ブランド全体のリセール傾向や、どのモデルが評価されやすいかについては、別記事で詳しくまとめています。→ リセール率ランキングはこちら

今回の鑑定士コメント

シードゥエラー 116600は、短命であったことが欠点ではなく、世代変化を担った証です。派手さはありませんが、仕様の完成度は高く、実需と理解層に支えられています。売却時は相場よりも、モデルの位置づけを正しく伝えることが重要です。

まとめ

ロレックス シードゥエラー 116600は、仕様と世代が切り替わる過渡期を担った重要な型番です。短命でありながら市場から評価が消えなかった理由は、その役割が明確だったからです。売却を検討する際は、価格の上下よりも、この型番がシードゥエラー史の中でどこに位置するかを理解した判断が、納得感のある結果につながります。ブランドレックス 鑑定士 千藤