相場は高いのに「安い」と感じる理由|鑑定士が見る価格のズレ
買取の相談で一番多いのが、「相場は高いと聞いていたのに、なぜこの金額なのか」「ネットではもっと高い数字が出ていたのに、安く感じる」という違和感です。この“ズレ”が解消されないまま話が進むと、売る側も買う側も納得できず、結果として不成立になったり、後悔につながったりします。ただ、鑑定現場ではこのズレには明確な理由があります。結論から申し上げると、相場は「誰のどんな条件の個体が、どの販路で、いくらで成立したか」という複数条件の集合体であり、そこから条件が外れると成立価格が変わります。本記事では、相場が高いのに安く感じる理由を、鑑定士として“成立価格”の視点で整理します。
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「相場」と「あなたの個体の成立価格」は別物です
まず最初に理解していただきたいのは、相場は“固定の答え”ではないという点です。相場はあくまで目安であり、実際の買取価格は「その個体が実際にいくらで成立しうるか」で決まります。同じブランド・同じ型番でも、状態や付属品、個体差、需要の偏りによって、成立するレンジが変わります。相場を見たときに「このくらいで売れるはず」と感じるのは自然ですが、その相場がどの条件の個体を前提にした数字なのかが分からないまま使ってしまうと、現実とのズレが生まれます。
高い数字が先に見えてしまう理由
検索や比較をしていると、強い数字が目につきやすい構造になっています。例えば「最高額」「上限」「過去最高」などの表現は、読み手の記憶に残りやすく、無意識に基準になってしまいます。また、中古販売の掲載価格と、実際に成立した価格は一致しないことも多く、掲載価格だけを見て「相場」と認識してしまうと、実務の成立レンジとのギャップが大きくなります。鑑定現場で大切なのは、強い数字ではなく「いま成立している帯」を基準にすることです。
ズレが生まれる代表的な原因
付属品の有無で“買い手の安心感”が変わる
時計であれば保証書や箱、余りコマ。バッグであれば保存袋や箱、ストラップなど。付属品は単なるオマケではなく、買い手が安心して購入できるかどうかを左右します。安心して買える個体は買い手がつきやすく、成立価格の上側レンジに入りやすい。一方で付属品に欠けがあると、成立レンジが下側に寄りやすくなります。結果として「相場より安い」と感じるズレが生まれます。
状態の差は“数万円”ではなく“成立帯そのもの”を変える
外装の打痕、深い傷、角スレ、型崩れ、ブレスの伸び、金具の摩耗などは、単にマイナスが少し付くだけではなく、成立しやすい価格帯を変える要素になります。相場は状態が良い個体を前提に見えやすいため、使用感が強い個体ほどズレが出ます。ここで重要なのは、見た目を整えるために無理な研磨や補修を行うことが、逆に評価を下げる場合があるという点です。見た目の綺麗さより「オリジナルの印象が保たれているか」「買い手に安心して渡せる状態か」が成立価格を左右します。
同じ型番でも“個体差”がある
時計なら文字盤仕様や個体の雰囲気、年代やコンディション。バッグなら素材、色、金具、サイズ、使用感の出方。こうした要素で「欲しい人の数」が変わります。欲しい人が多い条件ほど成立が早く、成立レンジが上に寄りやすい。反対に、好みが分かれる条件は成立が遅くなり、成立レンジが下に寄りやすい。この差が、相場とのズレとして現れます。
相場は“市場全体”だが、買取は“あなたの案件”
相場は市場全体の統計的な目安ですが、買取はあなたの品物を今この瞬間に成立させるための取引です。そのため、同じ相場帯でも「今そのモデルが不足している」「今その条件の在庫が多い」といった需給の偏りで成立レンジが変わることがあります。相場が動かない時期ほど、こうした需給差が“条件の差”として査定に反映されやすくなります。
「安い」と感じた時に確認すべきこと
相場とズレた提示を受けたとき、感情的に判断する前に確認してほしい点があります。ひとつは、その金額が「成立価格」なのか「入口の数字」なのか。もうひとつは、減額理由が具体的かどうかです。理由が曖昧なまま数字だけが動く場合は、納得感が得られにくくなります。逆に、状態・付属品・個体差など、成立レンジが下がる理由がきちんと説明され、条件が整理されているなら、その提示は現実に近い可能性が高くなります。重要なのは「一番高い数字」を探すことではなく、「その価格が成立する根拠があるか」を見ることです。
鑑定士としての見解
相場が高いのに安く感じるのは、あなたの感覚が間違っているからではありません。多くの場合、見ている数字の前提条件が違うだけです。鑑定の現場では、相場の強い数字を煽って判断させるより、成立価格ベースで条件を整理し、納得できる判断をしていただくことを大切にしています。相場はあくまで参考であり、最終的に大切なのは「あなたの個体が、いまどのレンジで成立するか」です。それが分かれば、売る・待つの判断も自然に決まります。
なお、実際の買取価格がどの水準で成立しているのかを知りたい方は、直近でお取扱いした買取事例も参考になります。モデルごとの評価のされ方や、査定時に重視されたポイントが分かりやすい内容です。
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まとめ
相場が高いのに安く感じるズレは、「相場」と「あなたの個体の成立価格」の違いから生まれます。付属品、状態、個体差、需給の偏り、説明の根拠。この条件が成立レンジを決め、その差が買取価格の差になります。迷っている方ほど、強い数字に振り回されるのではなく、成立価格ベースで条件を整理して判断することが大切です。納得できる形で売却するために、まずは今の条件を落ち着いて確認してみてください。
ブランドレックス
鑑定士 千藤
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