ロレックスの資産価値を「今後どうなるか」で考えるとき、結論だけを先に申し上げますと、全体としては今後も“緩やかに底上げされやすい”一方で、モデルごとの優劣はさらに拡大しやすい局面に入っています。つまり「ロレックスだから安心」ではなく、「相場の芯にいる型番を選べているか」で結果が大きく分かれる時代です。背景にあるのは、定価改定が継続していること、世界需要が厚く供給が計画的に絞られていること、そして為替や世界経済の波が“強い型番と弱い型番の差”を浮き彫りにすることです。本記事では、2026年以降を見据えた資産価値の考え方を、価格推移の見方と、実務で使える判断軸に落として整理します。

ロレックスの資産価値が「今後も注目され続ける理由」

ロレックスが資産価値の文脈で特別視される理由は、ブランドの格式だけではありません。査定の現場では、価格が高いことよりも「売りたいときに成立しやすいか」「価格の中心が読みやすいか」「買い手が国内外に厚いか」が重要です。ロレックスはこの3点が揃いやすく、特にスポーツモデルは“回転”が早いため、相場が調整しても成立点が消えにくい構造があります。今後も緩やかな上昇が期待されると言われるのは、人気が強いからというより、供給制限と世界需要のバランスが崩れにくいからです。反面、同じロレックスでも相場の芯から外れると、定価改定があっても中古が連動しにくく、回復も鈍くなることがあります。ここを理解しておくことが、2026年以降の“ロレックス資産価値”の前提になります。

ロレックス資産価値の今後を左右する4つの要因

継続的な定価改定と中古相場への影響

ロレックスは定価改定(実質的な値上げ)を継続しており、これが中古相場の底上げに影響します。ただし、重要なのは「すべてのモデルが同じだけ上がるわけではない」という点です。中古が連動しやすいのは、供給が絞られ、世界需要が厚く、相場の芯になっている型番です。具体例で見ると分かりやすく、サブマリーナー デイト Ref.126610LNは、旧定価が約1,570,800円だった水準から、新しい水準として約1,683,000円へ切り上がった局面があり、差額は約112,200円、上昇率は約+7.1%です。こうした定価改定が入った後、付属品完備・状態良好の買取レンジは、おおむね2,100,000円〜2,600,000円あたりに“成立ゾーン”が作られやすく、結果として相場の下限が静かに切り上がります。GMTマスターII Ref.126710BLRO(ペプシ)は、定価の上昇率自体は大きく見えない年もありますが、供給が薄く指名買いが強い型番のため、中古側が先に反応しやすい特徴があります。デイトナ Ref.126500LN(SS)も同様で、定価が約2,349,600円から約2,499,200円へ上がった局面では、差額約149,600円、約+6.4%の上昇となり、買取レンジも4,800,000円〜5,630,000円のように定価と大きく乖離しやすいゾーンが形成されやすくなります。ここで誤解しやすいのが、「定価が上がる=中古が必ず上がる」ではない点です。定価改定は“燃料”にはなりますが、実際に中古を動かすのは需要と供給のバランスであり、相場の芯にいる型番ほど燃焼効率が高い、という理解が現実的です。

世界需要と計画的な供給制限

資産価値の強さは「人気があるか」だけで決まるものではなく、「供給が増えにくい中で需要が分散して厚いか」で決まります。ロレックスは世界中に買い手が存在し、地域ごとに景気の波があっても需要がゼロになりにくいのが強みです。さらに、供給が計画的に絞られていることが、相場の安定性につながります。正規店で簡単に買えるモデルは、短期的には売れたとしても、中古の下支えが弱くなりがちです。一方で、デイトナ、GMT、サブマリーナーのように“欲しい人が常にいて、供給が追いつかない型番”は、調整局面でも買いが入りやすく、成立価格が残りやすい傾向があります。今後もこの構造が大きく崩れない限り、資産価値のベースは維持されやすいと見ています。

為替(円安・円高)が国内相場に与える影響

為替は国内相場に直接影響します。円安が進むと輸入価格の考え方が変わり、国内の売価・買取ともに押し上げられやすくなります。ただし、為替の影響もモデルによって差が出ます。実例として、エクスプローラーI Ref.124270のように“世界需要が安定し、価格帯も比較的読みやすい型番”は、円安局面で定価が段階的に切り上がることで、買取相場も一緒に上がりやすい傾向があります。体感としては、状態と付属品が揃う個体で、円安が進んだ局面ほど買取レンジの下側が持ち上がりやすい、という動きです。一方で、為替が円高方向に振れたとしても、サブマリーナー・GMT・デイトナのように相場の芯にいる型番は“海外の買い手が拾う価格帯”が存在し、国内が急落しにくい傾向があります。ここが「為替が動いても落ちにくいモデル」の特徴です。具体的には、ステンレスのスポーツモデル、供給制限が強い型番、そして市場参加者(買い手)が多い型番ほど、為替変動に対しても耐性を持ちやすいと考えてください。

世界経済が悪化した場合の下落リスク

世界経済の悪化が起きた場合、価格が下がる可能性はゼロではありません。ただし、ここでも重要なのは「下がり方がモデルで違う」点です。過去の調整局面では、全体が弱含んだとしても、デイトナやGMTのような“相場の芯”は下落しても戻りが早く、回復局面で先に買いが入る傾向が見られました。例えばGMTマスターIIの人気配色系は、強い局面で3,800,000円前後の水準をつけた後に調整で2,900,000円前後まで下がるような波があっても、回復局面で3,500,000円〜4,000,000円に戻っていく、といった“戻りの速さ”が出やすい一方、宝飾要素が強い仕様や、相場の芯から外れた型番は、調整後に戻りきらず、回復が鈍いことがあります。ここで言う「戻ったモデル/戻らなかったモデルの違い」は、ブランドの優劣ではなく、買い手の厚みと、相場が形成される中心にいるかどうかです。世界経済が悪化したときほど、この差ははっきり出ます。

今後も資産価値が維持・上昇しやすいロレックスのモデル条件

相場の「芯」にいるスポーツモデルを外さない

資産価値を重視するなら、まず相場の芯にいるスポーツモデルを外さないことが基本です。サブマリーナー(ノンデイト含む)、GMTマスターII、デイトナは、世界中で需要が厚く、市場参加者が多いことで、相場の中心が崩れにくい特徴があります。たとえばサブマリーナー デイト 126610LNは定価比で100%を超える局面が起きやすく、条件が揃えば買取レンジが2,100,000円〜2,600,000円に乗りやすいことがあります。GMT 126710BLROは供給が薄い分、成立価格のレンジが広がりやすい一方、需要の芯が太いので、買い手が途切れにくいモデルです。デイトナ 126500LNは、供給制限と指名買いが強いため、定価の上昇局面では中古側が先に反応しやすいという特徴があります。

生産終了・仕様変更の“評価が残るポイント”を押さえる

今後の将来性を考えるとき、「生産終了」や「仕様変更」は資産価値に影響します。ただし、生産終了なら何でも上がるわけではなく、評価が残るのは“もともと需要が厚い型番で、供給が止まることに意味があるもの”です。また仕様変更も、ケース径やムーブメントの更新、ベゼルやブレスの細かな変更など、買い手がどこに価値を見出すかで評価が分かれます。相場の芯にいる型番ほど、仕様変更のタイミングで旧仕様の価値が残りやすい一方、芯から外れた型番は「新旧どちらでもよい」となりやすく、価格が動きにくいことがあります。

シンプルデザインは“下限が静かに切り上がる”

デイトナやGMTのような派手さはなくても、エクスプローラーのようなシンプルなデザインが長期で評価される理由は、流行に左右されにくく、買い手が一定数存在し続けるからです。派手なプレミアを狙うというより、「大崩れしにくい」「下限が静かに切り上がる」という資産価値の守り方として有効です。資産価値の考え方は、上がる銘柄を当てることではなく、下がりにくい条件を外さないことが最も重要です。

「今後どうなるか」を判断するための鑑定士視点

ここまでの話を、実務の判断軸に落とすとシンプルです。ロレックスの資産価値は今後も注目されやすい一方で、モデルごとの差は広がります。したがって、判断は「ロレックスかどうか」ではなく、「相場の芯か」「世界需要が厚いか」「供給が絞られているか」「条件が揃っているか」に寄せるのが安全です。特に、価格が高い局面ほど“薄い根拠の高値”に引っ張られやすくなりますが、最終的に大切なのは成立する金額です。相場・価格・評価・判断軸を整理してから動くことで、売却でも購入でも失敗が減ります。

ブランド品全体の買取相場がどのように形成されているかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ブランド品の買取相場について

まとめ|ロレックスの資産価値は「緩やかに上がりやすい」が、選別がすべて

ロレックスの資産価値は、定価改定、世界需要、供給制限という構造によって、2026年以降も緩やかに底上げされやすいと考えられます。一方で、為替や世界経済の波があるほど、相場の芯にいる型番と外れる型番の差は拡大します。今後の将来性を狙うなら、デイトナ・GMT・サブマリーナーのように相場の芯にいる型番を外さないこと、シンプル系は“下限が切り上がる守りの資産”として位置づけること、そして何より付属品・状態・整合性を揃えて比較することが重要です。購入でも売却でも、条件を揃えて成立価格で判断することが、資産価値を守る最短ルートになります。ブランドレックス 鑑定士 千藤