ロレックスの「資産価値」を語るとき、ブランドの格式だけで判断してしまうと実態とズレます。鑑定の現場で重要なのは、①売りたいときにすぐ買い手が付く“流動性”、②相場が崩れにくい“価格の安定性”、③定価改定や為替の影響を受けても需要が残る“需給の強さ”です。これらが揃うモデルは、時計としての満足度に加えて、売却時の納得感も得やすく、結果として「資産として扱いやすい」状態になります。今回は、ロレックスの中でも資産性の中心にいる主要モデルを、最新の正規定価と買取相場レンジ、そして直近の価格推移(上昇率の見え方)まで含めて、できるだけ具体的に整理します。なお、相場は日々動きますが、数字の“見方”が分かると、上げ下げがあっても判断軸がブレにくくなります。

ロレックスの資産価値は「ブランド」ではなく「型番」で決まる

同じロレックスでも、資産性は一律ではありません。理由はシンプルで、中古市場の評価は「需要が集中する型番」に価格が集まるからです。たとえばサブマリーナーでも、デイト付き・ノンデイト、年式、付属品の揃い方、状態の差で評価は明確に分かれます。GMTマスターIIも、同じ黒文字盤でもベゼル配色やブレス仕様で相場が変わります。デイトナはさらに顕著で、同じステンレスでも“人気のど真ん中”にいる型番は、定価改定や市況の波があっても買い手が途切れにくく、買取相場の戻りも早い傾向があります。つまり、資産価値を狙うなら「ロレックスを買う」ではなく、「資産性が残りやすい型番を選ぶ」という発想が必要です。

最新相場の傾向

ここでは、資産性の中心モデルとして、サブマリーナー(デイト/ノンデイト)、GMTマスターII(ペプシ/バットマン)、デイトナ(現行ステンレス)を軸に、比較で理解しやすいようエクスプロー
ラーI/IIも加えて整理します。いずれも「状態・付属品が標準的に揃う個体」を前提にした目安で、実際の査定では、保証書日付・付属品完備度・ブレスの伸び・外装コンディションでレンジ内の着地点が変わります。

サブマリーナー デイト 126610LN(黒)

正規定価(国内・直近改定ベース):1,683,000円(税込)/買取相場(目安):2,200,000円〜2,450,000円前後。定価比で見ると約131%〜146%程度のレンジが出やすく、スポーツロレックスの中でも「売るときに強い」代表格です。価格が強い理由は、実需が厚く、買い手の幅が広いこと。サブは“使って満足しやすい”一方で、相場が崩れにくいモデルとして、資産性の土台になりやすい存在です。

サブマリーナー ノンデイト 124060(黒)

正規定価(国内・直近改定ベース):1,494,900円(税込)/買取相場(目安):1,900,000円〜2,050,000円前後。デイト付きに比べてレンジは落ち着く一方、ノンデイト需要の根強さがあり、状態が良い個体は評価が安定しやすい傾向です。価格推移としては、直近数年で「いったん落ち着いた後に再び底上げ」という動きが見えやすく、持ち方・売り方次第で納得感を作りやすい型番です。

GMTマスターII 126710BLRO(ペプシ)

正規定価(国内・直近改定ベース):オイスターブレス 1,747,900円(税込)/ジュビリーブレス 1,780,900円(税込)/買取相場(目安):3,200,000円〜3,700,000円前後。定価比は約180%〜210%と、資産性の強さが数字に表れやすいモデルです。特徴は、需要が「趣味」だけでなく「資産として持つ層」にも広がっている点で、短期で上下しても戻りが早いことが多いです。ブレス仕様の違いで好みが分かれ、相場に差が出るケースもありますが、いずれも高い水準で推移しやすい枠です。

GMTマスターII 126710BLNR(バットマン)

正規定価(国内・直近改定ベース):オイスターブレス 1,747,900円(税込)/ジュビリーブレス 1,780,900円(税込)/買取相場(目安):2,800,000円〜3,300,000円前後。ペプシと比べるとレンジはやや抑えめでも、需要が安定しており、在庫状況や市況で上振れしやすい局面もあります。「派手すぎないが、資産性は高い」という立ち位置のため、購入目線でも売却目線でもバランスが良い型番です。

コスモグラフ デイトナ 126500LN(白/黒)

正規定価(国内・直近改定ベース):2,499,200円(税込)/買取相場(目安):4,700,000円〜5,500,000円前後。定価比は約188%〜220%程度で、ロレックスの資産性を象徴する代表例です。重要なのは「数字が高い」こと以上に、買い手が途切れにくく、相場が崩れても戻りが早いこと。短期の波はありますが、需要の層が厚く、比較の最終局面でも選ばれやすいモデルです。

エクスプローラーI 124270

正規定価(国内・直近改定ベース):1,177,000円(税込)/買取相場(目安):1,150,000円〜1,450,000円前後。スポーツの中では「派手さより実用性」で選ばれるモデルですが、定価改定の影響が相場に反映されやすく、値落ちしにくい個体も少なくありません。資産性の考え方としては“爆発力”ではなく“守りの強さ”で評価される枠です。

エクスプローラーII 226570

正規定価(国内・直近改定ベース):1,576,300円(税込)/買取相場(目安):1,350,000円〜1,750,000円前後。黒・白文字盤の好みや状態差でレンジ内の位置が動きやすい一方、スポーツ系の中では相場が読みやすく、適正に評価されやすいモデルです。相場が強い局面では上振れもしやすいので、売却判断の作り方が比較的分かりやすいのが特徴です。

ここまでの数字を見ていただくと、同じロレックスでも「定価比でどれくらい強いか」「上下しても需要が残るか」が型番ごとに明確に異なることが分かると思います。つまり、資産価値の判断軸は“ロレックスかどうか”ではなく、“どの型番を、どの状態で、どのタイミングで持つか”に集約されます。ブランド品全体の買取相場がどのように形成されているかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。→ ブランド品の買取相場について

なお、同ブランド全体のリセール傾向や、どのモデルが評価されやすいかについては、別記事で詳しくまとめています。→ リセール率ランキングはこちら

査定額を左右するポイント

同じ型番でも買取額が大きく変わるのは、主に「状態」「付属品」「保証書(ギャランティ)」「外装コンディションの一貫性」です。まず状態は、単純な傷の有無だけでなく、研磨の跡やエッジの立ち方、ブレスの伸び、バックルの打痕、ベゼル・風防の欠けなど、“再販時に買い手が嫌がるポイント”が査定に反映されます。次に付属品は、箱・冊子・タグ・コマ・保証書が揃っているかで、レンジ内の着地点が変わります。特にスポーツロレックスは「保証書の整合性(記載年・店舗・個体の整合)」が重視されやすく、ここが曖昧だと、相場が強いモデルでも想定より評価が伸びにくいことがあります。さらに重要なのが“見えないコスト”で、オーバーホール歴や防水検査、電池切れ(クォーツの場合)など、再販前に必要な整備の見込みがあると、同じモデルでも調整が入ります。デイトナやGMTは人気が強い分、買い手の目も厳しく、些細な違和感が価格差になりやすい点は押さえておくと安心です。

より高く売るためのコツ

資産性が高いモデルほど、「どこに売るか」より前に「どう整えて持ち込むか」で結果が変わります。まず最優先は付属品の整頓で、保証書・コマ・箱類を一度まとめて確認し、欠けがある場合は正直に共有することが結果的に早いです。次に、相見積もりをする場合は“同じ条件で比べる”ことが重要で、上限だけ高いレンジ提示と、成立ベースの現実価格が混在すると、判断が難しくなります。資産価値の高いロレックスほど「呼び込みの数字」が出やすい市場でもあるため、比較は必ず“成立ベース”で揃えることがコツです。また、査定前に無理に磨いたり、自己判断でクリーニングを強くかけるのはおすすめしません。外装は一見きれいになっても、研磨痕やエッジの丸まりが出ると、評価が下がることがあるからです。できることは、拭き上げ程度に留め、状態はそのまま正しく見せるのが一番誠実で、結果的に高くなりやすいです。最後に、売却のタイミングは「相場が上がり切ったかどうか」だけで決めないこと。定価改定が入った直後は、相場が追随するまでに時間差が出ることがあり、逆に相場が強い時期でも、付属品や状態の整備が追いついていないとレンジ下振れになります。ご自身の個体が“上のレンジに乗る条件か”を先に確認することが、最短で結果を出すコツです。

今回の鑑定士コメント

ロレックスの資産価値は、感覚論ではなく「流動性」と「価格の戻りの速さ」で説明できます。今回挙げた型番の中でも、デイトナ126500LNとGMT126710BLROは、買い手の層が厚く、比較の最終局面でも選ばれやすい=換金性が極めて高いモデルです。一方でサブマリーナー126610LNや124060は、派手なプレミアの伸び方ではなく、実需が支える安定感が強みで、資産として“守りが強い”タイプと言えます。エクスプローラーI/IIは、資産性の絶対額で見ると控えめに見えても、モデルの完成度と需要の安定で「大崩れしにくい」枠に入ります。つまり、資産価値が高いモデルほど、売却の選択肢を増やしやすい反面、状態や付属品の差がそのまま価格差になるため、“整った個体ほど強い”という現実があります。もし売却を視野に入れている場合は、相場だけで判断せず、お手元の個体がレンジのどこに着地しそうかを先に確認するのが、後悔しない近道です。

まとめ

ロレックスが資産になるかどうかは、「ロレックスだから」ではなく「型番と状態で決まる」というのが結論です。デイトナ・GMTは資産性の上振れが期待でき、サブは安定性で資産を支え、エクスプローラーは堅実枠として選ばれます。数字を見るとプレミアが目立つモデルもありますが、本当に大切なのは、売るときに納得できる条件で着地できるか、そして比較の中で“成立する価格”を積み上げられるかです。 もし「今の相場で自分の個体はどのレンジか」「付属品が欠けているが影響はどの程度か」など、具体的に詰めたい点があれば、条件を揃えたうえで誠実にご案内いたします。ブランドレックス 鑑定士 千藤