腕時計を「資産」や「投資」として考える人が増えた一方で、実際には思ったほどの結果にならず、後悔されるケースも少なくありません。相談を受ける中で感じるのは、失敗する人には共通した判断軸があるということです。本記事では、腕時計投資でつまずきやすい考え方と、失敗を避けるために見るべきポイントを整理します。

「高い価格=正解」だと思ってしまう

最も多い失敗例は、提示された金額が高いという理由だけで判断してしまうことです。一括査定や写真査定では、実際に成立しない前提の価格が提示されることも珍しくありません。

数字だけを見ると魅力的に見えますが、現物確認の段階で条件が変わり、結果的に期待より大きく下がってしまうケースが多く見られます。

「ピーク価格」を基準に考えてしまう

時計投資で失敗する人ほど、過去の最高値を基準に考えがちです。確かにロレックスやパテックフィリップなどは大きく価格が上昇した時期がありましたが、その水準が常に維持されるわけではありません。

重要なのは、現在どの価格帯で「成立しているか」です。ピークと比べて下がった=失敗ではなく、成立価格として安定しているかどうかを見る必要があります。

モデルの「立ち位置」を理解していない

同じブランドでも、モデルごとに市場での役割はまったく異なります。短期売買向きのモデル、長期保有で価値が残るモデル、実需中心で価格が安定するモデルなど、それぞれ性質があります。

この立ち位置を理解せず、「有名だから」「高かったから」という理由だけで選ぶと、期待と現実のズレが生じやすくなります。

流動性を考えていない

資産として重要なのは「いくらになるか」だけではありません。「どれくらいの速さで売れるか」も非常に重要です。流動性の低いモデルは、価格が高く見えても買い手が限られ、結果的に条件が下がることがあります。

安定して取引されているモデルほど、価格のブレが小さく、成立までがスムーズです。

査定額を左右する現実的な要素

  • 外装状態(研磨歴・打痕)
  • 付属品の有無(保証書・箱)
  • 個体差(ブレスの伸び・文字盤)
  • 売却時期と市場の動き

失敗しないために意識すべき考え方

腕時計投資で重要なのは、「一番高い数字」を探すことではなく、「その価格が成立するかどうか」を見極めることです。成立しない価格を基準に考えてしまうと、判断を誤りやすくなります。

価格の背景や市場の構造を理解し、条件を整理したうえで判断することが、結果的に満足度の高い売却につながります。

鑑定士としての見解

投資として時計を見る場合、派手な値上がりよりも「どこで評価が止まるか」を見ることが重要です。失敗する人ほど短期の数字に振り回され、成功する人ほど成立価格を冷静に見ています。

正しい判断軸を持つことで、腕時計は単なる趣味ではなく、納得できる資産として向き合うことができます。

まとめ

腕時計投資で失敗する最大の原因は、判断基準が「価格だけ」になってしまうことです。市場の仕組みを理解し、成立ベースで考えることが、後悔しない売却・保有につながります。

ブランドレックス
鑑定士 千藤