
時計の傷は買取価格にどう影響する?時計査定のポイントを教えます
時計を査定する際に必ず見られるのが傷です。
使用していた物ならば金属ですので付いてしまう物にはなるのですが、傷の種類や使われている素材などによってもその評価が変わってきます。
その為、「ここに傷がありますね」というお話は売却の際は良くされると思いますが、どのような傷が評価の対象になっているのかお教えいたします。
わたくしブランド時計鑑定歴20年の千藤です。
時計は傷によってマイナス査定になる傾向にありますので、是非お持ちの時計を参考にいただけましたら幸いです。
目次
1.使用傷
2.凹み傷
3.抉れた傷
4.破損
5.素材ごと
・ステンレス
・金
・チタン
1.使用傷
使用傷は普通に使用していたら付いてしまう傷の事で、薄い線状の傷の事を指します。
その為未使用品かを確認する為に確認する事もあり、ブレスやバックル、ケースのサイドなどによく付く傷です。
この傷は基本的に浅い為、ポリッシュと言われる時計を研磨機で磨くことで綺麗に落とすことが出来ます。
その為このポリッシュにかかるコストという所で査定はマイナスになる事がありますが、傷の中では査定はそこまでマイナスにならない物になります。
こちらの場合は査定額が1万円~2万円前後マイナス査定になるイメージになります。
使用傷の例
2.凹み傷
次に凹み傷です。この傷はどこかにぶつけたりした際に付く物で、文字通り凹んだような傷の事を言います。
この傷は先ほどの使用傷より査定の際は下がってしまいます。
なぜかというと、この傷は先ほどのポリッシュをしても綺麗に消す事が出来ないからです。
ポリッシュという研磨作業は面に対して均等に削らなくてはいけない為、一部分的に深い傷を削る事が出来ないのです。
消すために削ってしまうと時計のフォルムが崩れてしまい、余計にその時計の価値を下げてしまいます。
こちらも上記同様にマイナスの査定になりますので参考くださいませ。
凹み傷の例
3.抉れた傷
次に抉れた傷です。
これは転倒したり時計を固い所で擦ってしまったりすることでも起きる物なのですが、この傷は凹み傷同様綺麗に直すのは難しいです。
凹みの傷は規模が小さい物が多いので目立ちにくくなりますが、抉れたような傷は凹みの傷に比べて規模が大きく、磨いても目立ってしまう事が多い為、傷の中では一番大きなマイナスの査定になります。
抉れたような傷例
こちらの場合は査定額3万円前後マイナスになるケースが多いです。
4.破損
次に破損です。
破損はパーツが取れてしまっていたり、ブレスや革がちぎれてしまっていたりしている場合です。こうなってしまうとパーツ交換、もしくはパーツを仕入れなくてはいけないので大分マイナスになりますね。
アンティークの物が良く破損している事がありますが、アンティークは当時の部品を探すのが非常に難しく現行のパーツにしてしまうと価値が下がってしまうことが多い為、
現行の時計以上にマイナスになる事が多いです。
破損の例
破損の場合はメーカー修理になりますのでブランドによって差異がございますので、欠品や破損の場合はご相談くださいませ。
5.素材ごとの違い
素材ごとでも評価の仕方が変わります。
・ステンレス
ステンレスは時計に使われている素材の中でも最も安価でポピュラーな素材だと思います。昔から腕時計などには使われていて、適度な柔らかさによる加工のしやすさと、金に比べて安価で手に入るというのが理由に上がります。
適度な柔らかさと言っても金よりは固い為、より丈夫に時計を作る事が出来ました。
金属を加工する際は適度な柔らかさがないと成型が出来ない為、柔らかさがある物の方が形にも自由度を出すことが出来ます。
ステンレスはそういった所では事情に優れていた為、今もレギュラー素材として使われています。
柔らかさがあるという事は傷もつきやすいのですが、ある程度の傷であればポリッシュと言われる素材を薄く削る作業をすることで傷を消す事が可能で、オーバーホールと言われる分解清掃をする際にケースをポリッシュする方は多く、これにより購入したばかりのような綺麗な状態に戻すことが出来ます。
ですが、削るという作業の為薄い傷には有効的な手段なのですが、これが凹んだような深い傷にはあまり効力はありません。
成型された限られた部分を削らなければいけない為削り過ぎてしまうと時計のフォルムを崩してしまいます。ステンレスは一度融解しなければ形を変えることも出来ない為、一度成型してしまった物はその状態で削る事でしか使うことが出来ません。
その為深い傷は目立たなくさせるように少し削る以外に方法が無いのです。
その為、査定の際も深い傷は同じ傷でもマイナスが大きい査定になります。
・金
次に金ですが、時計に使われている金には様々な種類があります。イエロー、ピンク、ローズ、ホワイトなど。
こういった金は最初に説明したステンレスより柔らかく、現代より技術が発展していない太古でも造形物として生成されるぐらい加工がしやすい物になります。
ですが、金は自然界から生まれる貴重な鉱石の為に、手に入れるには資金が必要な物でした。
その為現在でもとれる量が少ない金は資産価値としても高く、加工品も高値で取引されています。
そんな金は傷に対しては強いとは言えません。
ビッカースと言われる鉱物の硬さを表す数値では
金属で最も硬いとされる超合金は1700-2050前後、この世で最も硬いとされるダイヤモンドは7140-15300という風になっているのですが、金の数値は熱処理などの加工を施しても50という数字がやっとです。
そのかわり展性と言われ押す事でつぶれたり、延性と言われる引っ張ると伸びたりという特性がある為、最も成型に適した金属ではあります。
そして金のもう一つの特徴はくっつけて削る事で、接着面がほとんど分からなくすることが出来という点です。
先ほどのステンレスは凹んだような深い傷は治せないという話をしましたが金は治す事が可能です。
凹んだところに金を流し込んで削る事で傷を埋める事が出来ます。
ブランドによってはこういった手法を使う事で深い傷を無くす修理を行っている所もあります。
ただ治せますが、金をプラスで使う為コストはかかります。
その為弊社などで買い取った物をこの処理で治すのは傷のままで再販するよりコストがかかるのでやることは無いです。
ご自分でずっと使い続けたいという方はメーカーに問い合わせれば深い傷でも治してくれるかもしれません。
・チタン
チタンは現代素材と言われるまだまだ歴史の古い素材で、色味はステンレスとほぼ同じのシルバー色をしています。
特徴としては軽い、硬い、腐食しないといった特徴があり、似ているステンレスより優れている物が多く特に重量はブレスの時計を作っても革ベルトのステンレス時計より軽いぐらいの重量の違いが生まれます。
そして現在日常生活の中で時計を付ける機械が増えているので、腐食しないという面はとても魅力的です。
ですが良い物というのはやはりコストが高く、ステンレスに似てはいますが、価格はステンレスより高いです。
コストが高くなるのは素材そのものの価格もありますが、加工がしづらいというのもあります。
ステンレスのビッカース硬度は185前後、
チタンは270-320となっていて硬い物の方がより加工が難しく、細かな成型が出来なくなります。時計のような細かな成型が要求される物では扱いづらい素材なのです。
しかもチタンを削った際にでるチタン屑は発火性がある為、取り扱うだけでも神経を削る物でもあります。
硬度が硬く加工しずらい物というのは傷がつきづらい物にはなりますが、絶対に付かない訳ではありません。
チタンも使用傷や凹み傷はつきます。
その為、チタンの場合は使用傷は治す事はもちろんできますが、加工がしづらいという点があり、ステンレスよりマイナス評価はおおきくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は査定に影響する傷や破損についてまとめてみました。
傷の種類によって、査定額は大きく変わりますので参考にして頂けたら幸いです。
傷があり値段を知りたい方は是非お気軽にお問合せくださいませ。
わたくし千藤までお問合せいただけましたらお答えさせていただきます。
それでは皆様からのご連絡の方をお待ちしております。
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