近年、ロレックスやエルメスをはじめとしたブランド品・高級時計を「資産」として捉える方が明らかに増えています。以前は嗜好品、ぜいたく品という位置づけが一般的でしたが、現在は「今売るべきか、それとも持ち続けるべきか」という視点で相談を受けることがほとんどです。本記事では、鑑定士の立場から“資産として成立するブランド品とは何か”を整理し、どのような考え方で判断すべきかをまとめます。

なぜ今、ブランド品が「資産」として見られているのか

背景にはいくつかの要因があります。世界的なインフレ、為替の変動、現金価値の相対的な低下。これらの影響により、実物資産へ価値を移したいという動きが加速しました。その中で、換金性が高く、世界共通で評価されるブランド品や高級時計が注目されるようになったのです。

特にロレックスやパテックフィリップの時計、エルメスやシャネルのバッグは、国や地域が変わっても評価基準が大きく崩れにくいという特徴があります。これは「欲しい人が世界中にいる」という事実が、価格の土台になっているからです。

資産になるブランド品の共通点

すべてのブランド品が資産になるわけではありません。実際の取引現場で見ていると、資産として成立しているものには明確な共通点があります。

  • 生産数がコントロールされている(過剰供給がない)
  • 定番モデルとして長期間支持されている
  • 世界市場で価格が形成されている
  • 中古市場が成熟している

これらを満たしている代表例が、ロレックス、パテックフィリップ、オーデマピゲ、エルメス、シャネルといったブランドです。流行に左右されにくく、モデルチェンジがあっても評価がゼロから作り直されることはほとんどありません。

時計とバッグでは「資産の性質」が違う

同じ資産といっても、時計とバッグでは性質が異なります。時計はムーブメントや製造背景、流通量といった要素が価格に直結しやすく、数値で比較しやすい反面、相場変動の影響を受けやすい側面があります。

一方でバッグは、素材・サイズ・色・付属品の有無といった要素に加え、「ブランドが作り続けているかどうか」が非常に重要です。エルメスやシャネルの定番モデルは、定価改定が繰り返されることで相場全体が底上げされ、結果として中古価格も安定しやすくなります。

「売るべき人」と「持つべき人」の判断軸

資産として考えたとき、全員が同じ結論になるわけではありません。例えば、使用頻度が下がっている、保有点数が増えすぎている、他に使いたい資金用途がある。このような場合は、評価が安定しているうちに売却する判断は合理的です。

一方で、定番モデルを一点だけ所有している、長期保有を前提にしている、相場変動に一喜一憂しないという方にとっては、無理に売る必要はありません。資産価値とは「上がるか下がるか」だけでなく、「持っていて困らないか」という視点も含まれます。

価格だけで判断すると失敗しやすい理由

査定の現場でよくあるのが、「一番高い数字を出したところに売る」という判断です。しかし、写真だけで提示された価格や、成立前提でない数字は、実際の取引では修正が入ることも少なくありません。

大切なのは、その価格が「本当に成立するのか」「なぜその価格になるのか」を理解することです。資産としてブランド品を考えるなら、短期的な数字よりも、評価の背景を見る必要があります。

鑑定士としてのまとめ

ブランド品や高級時計を資産として考える時代は、すでに始まっています。ただし、すべてが投資向きというわけではなく、向き・不向きははっきり分かれます。重要なのは、自分がどの立場にいるのかを整理し、そのうえで判断することです。

今後も、個別ブランドやモデルごとに、資産としての考え方を詳しく解説していきます。本記事が、ご自身の判断を整理する一助になれば幸いです。

ブランドレックス
鑑定士 千藤