エルメスは、ブランドバッグの中でも「資産」という言葉が最も自然に使われるブランドです。一時的な流行や話題性ではなく、長年にわたり定価と相場が段階的に切り上がってきた実績があります。本記事では、エルメスがなぜ資産として評価され続けているのかを、定価推移(円)と相場構造の観点から整理し、今売るべきか、持ち続けるべきかの判断材料をまとめます。

エルメスが他ブランドと決定的に違う点

 エルメスの最大の特徴は、生産数を厳しく制限し、需要があっても供給を増やさない点にあります。多くのブランドが売れるモデルを増産する中、エルメスはあえて供給を抑え、希少性を保ち続けています。この姿勢が、価格と価値を長期的に維持する土台となっています。

定価推移(円)で見るエルメスの価格戦略

 代表的なモデルであるバーキンやケリーは、過去と現在で定価が大きく異なります。例えば、バーキン25(トゴ素材・ゴールド金具)の定価は、過去には約80万円前後で販売されていた時期がありましたが、現在では約150万円前後まで引き上げられています。

 これは+70万円前後(約85%)の上昇にあたり、短期間の値上げではなく、複数回に分けて行われた段階的な改定です。ケリー25についても同様で、過去の定価と比べると約1.7倍前後の水準に達しています。

中古相場が定価を上回り続ける理由

 エルメスの主要モデルは、正規店での入手難易度が非常に高く、欲しいサイズや素材を自由に選べる状況ではありません。そのため中古市場では、「すぐに手に入る価値」に対して価格が上乗せされ、定価を上回る水準で取引されるケースが長年続いています。

 重要なのは、相場が一時的に下がった局面があっても、定価自体が上がり続けているため、中古価格の下限も徐々に切り上がっている点です。

資産性が特に高いモデルの共通点

・バーキン、ケリーなどの定番モデル
・サイズは25〜30前後の需要が安定しているもの
・トゴ、エプソンなど定番素材
・ブラック、ゴールドなど定番カラー
・箱・保存袋・カデナ・クロシェット完備

 これらの条件が揃うことで、相場のブレが小さくなり、資産としての安定性が高まります。

ピコタンやエヴリンは資産になるのか

 バーキンやケリーほどではないものの、ピコタンやエヴリンといったモデルも、定価改定の影響を受けて相場が底上げされています。特にピコタンは、過去に定価20万円台だったモデルが、現在では定価40万円前後まで上昇しており、中古相場もそれに追随しています。

 ただし、これらのモデルはカラーやサイズによる評価差が大きいため、「何でも資産になる」というわけではありません。

今売るべきか、持つべきか

 エルメスは、すでに大きく値上がりしたブランドですが、定価が今後も上がる可能性を考えると、条件の良い個体は慌てて手放す必要はありません。一方で、使用頻度が低く、相場が高水準にある今のタイミングで売却する判断も合理的です。

今回の鑑定士コメント

 エルメスは「高く売れるブランド」ではなく、「価値が積み上がっていくブランド」です。定価の上昇と供給制限という構造が続く限り、主要モデルの資産性が大きく崩れる可能性は低いと考えています。

まとめ

 エルメスが資産として評価される理由は、流行ではなく構造にあります。定価が上がり続け、供給が制限されている以上、条件の整ったモデルは今後も価値を維持しやすいでしょう。次回は、バーキン・ケリー・ピコタンといった個別モデルを、サイズ・素材別にさらに深掘りしていきます。ブランドレックス 鑑定士 千藤